ドイツのIndustry4.0が2013年に発表され、IoTを使った第4次産業革命が一気に注目されています。日本では2017年3月に、経済産業大臣がドイツで「Connected Industries」を発表しました。製造業における「現場データ」が強みとなる時代に向けて、世界各国の競争が始まっています。
そのIoTですが、製造業で実際に活用出来ている企業はまだまだ少なく、どの様な導入効果があるかもわかっていないのが現状ではないでしょうか。
私は製造業のお客様に訪問する仕事を20年以上行ってきました。そこで気づくのですが、近年では訪問先のどの企業でも設備保全技術者が少なくなっています。保全技術者が減っている要因は、大きく2つが考えられます。
1つ目は各設備の高度化・複雑化です。設備故障などの不具合が発生した場合、自分たちで修理するよりメーカーの技術者を呼んだほうが復旧時間が早く確実なケースが多くなってきています。
2つ目は人件費の抑制です。まれにしか発生しない設備故障対応の為に、人員を常に確保すると人件費がかかります。稼働率の悪い人員を常に抱えるより、設備故障が発生した時だけ設備メーカーの専門家を呼んだほうが安いという考え方です。
これらの考え方が進んだ結果、団塊の世代に多かった「ベテラン保全技術者」が定年退職とともに消えて行ったのだと考えられます。
しかし、保全技術者を削減したことにより現在では問題が発生してるケースが多くなっていると感じます。機械の調子を五感を使って定期的に見回る保全技術者が居なくなくなりました。一方、機械の操作員は生産が仕事ですので生産目標に追われている事もあり、機械が故障するまで異常に気づきません。この様な状況では、設備不良による「生産性低下」や「品質不良」が発生してしまいます。
結果的に、日本の製造現場の技術力はどんどん低下しているように感じます。
ベテラン保全技術者に期待できなくなった今、機械の性能を出し続けるには機械の状態を自動的に把握する必要があります。そこで、IoTの活用です。IoTを使って設備データの自動取得を行います。次に集まったデータを分析することで、「製品品質の管理」や「機械の故障予知」が可能になります。
日本の強い製造業を維持して行くには、IoT導入は欠かせない時代に来ているのではないでしょうか。